ねこ

この子はどこから来たのか。

はじめて出会ったのは埼玉の北の果てにあるコンビニの駐車場、兼、駐輪場。

夏は近くまで迫り鈴虫が鳴いていた6月。

賑やかな街中からは外れ田んぼが広がり新幹線だけしか止まらない駅を囲うようにスーパーマーケットやホームセンター、コンビニが置かれていた静かなニュータウン

この地の昔の面影を残していたのは大木に囲まれた神社ぐらいで、その周りはコンクリート道路に包まれており、私はそこから道一本を挟んだ新築のアパートに引っ越したばかりだった。

自転車で5分ぐらいといったところだろうか、ショッピングモールを横目にガソリンスタンドを追い越した先にそのコンビニはあった。

時代に合わせたのだろう、落ち着いた茶色の塗装が目立つ建てられたばかりのコンビニ。

太陽は西に沈みかけ、辺りは暗い青色に染まりつつある夕刻過ぎ。

そこのコンビニは夜が近くなると在庫処分のためかスイーツなどを半額にするらしい。

その法則に何となく気づいた私は、陳列棚に目を配り目当ての半額シールを見つけるとその商品をレジへと持っていき会計を済ませ薄いレジ袋を手に外へ出た。

振り子のように揺られるレジ袋は小気味よく音を鳴らす。

私の足元には小さな子どもたちが集まっていた。

 

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